二十歳の原点 12年後の感想

今から12年ほど前、私が19歳か20歳くらいの頃、高野悦子さんが書いた二十歳の原点という本を読んだ。当時の私は、高野悦子さんも普通の二十歳の子だったんだな、と思った。彼女を天才と称した書評・解説があったけどそう思わなかった。

ただ、彼女の赤裸々なまでの日記を読んで、正直な人だなと思った。書いていた本人は、それがこんな形で世に出ることになるなんて思ってもいなかったのだろう。

それから数年後、確か新聞に彼女のことが載っていて、そこには彼女はあの当時の二十歳の若者誰もが通ったであろう葛藤の道を行っていて、でも彼女は死んでしまった、と書いてあった。私にはその解釈の方がなんとなくしっくり来た。

誰にも読まれない日記の中でも真に正直になることは難しい。そしてそれを言葉で表現することも。二十歳の原点と言う本は、独りであり、未熟であった高野さんが一身にその内面を文章、そして自殺という形で体現した産物なのだと思う。あれから12年経った今も私は彼女は普通の二十歳の子だったという気がしている。