ノーベル賞受賞科学者の女性科学者批判について

昨日、話題のティムハント氏の発言に関する英語の元記事を読んで、随分過激な発言をするなぁと思っていた (Nobel Prize Winner Calls Lady Scientists Crybabies)。

 

そして今日になって辞職のニュース。

人の上に立つ人は公の場での発言には特に気をつけなければいけないなぁ、としみじみ思う。口は災いの元。

 

彼の言うCry babyとはちょっと毛色が違うけど私もCry babyの女性科学者のカテゴリーに当てはまる気が自分してしまい、昨夜はこの記事のことが頭から離れなかった。

私は大学の研究員として働いていた頃、ラボで泣いたことはないけど、妊娠、出産を機に退職をした際は少なからず大学というシステムを呪った。

 

昨日の記事の中に抜粋されていた彼の発言には、ちょっと考えさせられる部分があった。

 

“I'm not sure there is really a problem, actually,” he said. “People just look at the statistics. I dare, myself, think there is any discrimination, either for or against men or women. I think people are really good at selecting good scientists but I must admit the inequalities in the outcomes, especially at the higher end, are quite staggering. And I have no idea what the reasons are. One should start asking why women being under-represented in senior positions is such a big problem. Is this actually a bad thing? It is not immediately obvious for me... is this bad for women? Or bad for science? Or bad for society? I don't know, it clearly upsets people a lot.”

 

後半部分を意訳すると

「どうして科学の世界で女性が出世しにくいということがそんなに問題とされるのか?

それって実際に悪い事なのか、という問いに対して私は即座に答えることができない。悪いって女性にとって悪いのか?科学にとって悪いのか?それとも社会にとって?」

 

この部分を反芻しながら、私が考えたのは多分、

私たちが学生の頃、つまりお金を払って大学という世界にいた頃(もしくはgraduate assistantという名の奴隷だった頃)、男子学生との間に差別されたや、そういったことを見聞きした記憶はあまりない。女子学生は総じて男子学生より優秀で、私自身も大学、修士課程、博士課程と奨学金を得てそれなりにいい成績をおさめた。

ここまでは大体平等が広まっているのに、結婚して妊娠した途端アカデミアでの私は世界がひっくり返ったような、八方塞がりにあった。

つまり問題はここなんじゃないか、と。

私たちは子供の頃から志、夢を持つように言われ、人間は全て平等だと教えられる。

それを信じて30歳くらいで博士号をとり終え、目の当たりにする不平等な現実。

それに対して声を上げると、周りから疎まれ、cry babyと呼ばれる始末。

誰でも憂いたくなる状況なのではないか。

 

私個人の意見としては、ティムハント氏は辞職せず、こういう問題のadvocateとしての役割を買って出ればいいのにな、と思った。